« 名水のまち 入善 | トップページ | 白浜・白比古神社(七尾市白浜町) »

2021.03.21

万葉歴史館と「海ゆかば」

4

戦時中に政府が国民精神総動員強調週間を制定した昭和12年(1937年)
信時潔が作曲し、戦意高揚のために利用された歌は小生もよく知っているが
一昨年(2019年7月)に聞いたラジオ番組
「アーサー・ビナード 午後の三枚おろし」(文化放送)では
この歌が流れた後、「これ何の歌ですか?」とアシスタントの
女子アナが質問していたことには驚かされた。
多分いまや多くの日本人にとっては忘れられた歌なのかもしれない。
さて、先日高岡の万葉歴史館を久々に訪れた際
展示室の脇でこの大伴家持が詠んだ「海ゆかば」の銅板を発見。
(残念ながら写真を撮り忘れ)
気になっていたので帰宅後調べてみると
家持が伏木で詠んだ長歌から、昭和15(1940)年に
高岡市伏木国分の石雲寺の住職らが結成した「伏木家持会」が、
地域住民の寄付を募って制作した銅板という。
戦時中は寺の縁の下に隠されていたそうで
現在は万葉歴史館で保管となっている
家持の作品やこの銅板には戦意高揚といった意図は全くないとはいえ
昭和12年以降歌われた歌はまさしく「国家のために自己を犠牲にして尽くす
国民の精神(滅私奉公)を推進する」運動に利用され
大本営発表が玉砕を伝えるラジオでは、冒頭に必ず流れたものと聞く。
最古の和歌集として長く伝わり、日本人の心にも
多くの影響や共感をもたらしてきた和歌を
戦争遂行に利用してきたことを忘れてはならじとの自戒をこめ
もっと学べる展示であってほしいと思った次第である。
同じ万葉集を原点とする「令和」を強調する展示も良いが
歴史の汚点や反省点を学べる機会を展示するのも役目だと思う。
なお、同行の師匠の別件質問に万葉歴史館のスタッフからは
たいへん丁寧な対応を頂いたことも合わせて感謝し記しておきたい。
ちなみに最近の国会中継を見る限り、役人の滅私奉公は
国民のためでなく、時の国家権力・政治家に対し
良心を犠牲にし尽くしている姿が目に余り残念極まりない。
これでは他国と戦争をしなくてもこの国は亡ぶね。

 

|

« 名水のまち 入善 | トップページ | 白浜・白比古神社(七尾市白浜町) »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。