「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」
戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎・著
ダイアモンド社、1984年
昨年の読書の中で最も印象に残った一冊である。
丁度コロナ禍が広がり、つまり国家国民的危機の中で
政治や行政、そして国民はどう動くかが最も問われる局面で
一国民としての視点を見極めることに大変示唆に富んだ一冊だった。
そしてコロナ禍はまだ続いている。
すでに1年を上回るコロナとの闘い(戦争)において
失敗やミスに学んだ次の一手が打たれているのかが
大きく疑われる状況の中で、その本質はどこにあるのかと。
同じく昨年アマゾンプライムで観た映画
「戦争と人間」(1970-73年、日活、監督・山本薩夫)では
残念ながらノモンハン事件までしか描かれていなかったが
その後の日本の歩んだ更なる大きな失敗を鑑みれば
この映画で描かれた愚策、失敗、愚かな判断でも十分であったと思う。
まったく今くり返されていることと同じではないか。
あらためてびっくりするやら先行きの日本に不安を抱いてしまう。
「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」の帯には
「-----これを現代の組織にとっての教訓、あるいは反面教師として
活用することが本書の狙いである。」と記されている。
本書が出てから40年近くたつ。組織だけにとどまらず
戦争への道・失敗への道を共に歩んだ国民としての教訓も
考え得なければならないと強く思う。
ちなみにノモンハン事件やガダルカナル島などで
参謀として作戦を導いていた辻政信は同じ故郷出身。
士官学校を首席で卒業するような秀才の過ちは
糾弾されるどころか戦後は国内潜伏の後、
故郷で国会議員に当選している。
結局東南アジア視察旅行中に失踪と謎に満ちた辻であるが
現代においても辻のような官僚が存在している。
秀才と呼ばれる国の最高学府出身の彼らは
どこでどう間違え、その本質はどこにあるのであろうか。
さて、小池百合子都知事は本書を座右の書としているということだそうだが、、、、。
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