「諏訪の神」封印された縄文の血祭り
(戸矢 学・著、河出書房新社、2014年)
なんともおどろおどろしい副題のついた諏訪の神だ
引き続き諏訪の神への好奇心が強く
表題の本を手にしましたが、いくつかの疑問がかなり
おかげで解けてきました。
まずなぜ建御雷神(武甕槌大神)に負け
諏訪まで逃走してきた建御名方神が
”軍神”として武田信玄をはじめ多くの武士たちに崇拝されるのか?
諏訪社は全国に5000社以上に対し
建御雷神を祀る鹿島神宮分祀は約750社という圧倒さ。
(なんでも長野より新潟に多いという)
これに対し本書では「日本書紀」にも「出雲風土記」にも登場しない
(「古事記」のみに記される)建御名方神の逸話はでっちあげで
建御名方神とは物部守屋のことであると読み解いている。
物部一族は軍事と祭祀の双方を司ってきた一族であり
もともと硯石を神体とするミシャグジ社であったところに
6世紀末頃に物部守屋の霊威がこの境内(神居)に埋葬され、
その名は秘されたとし、神長官・守矢氏の「洩矢神」
モリヤの神も建御名方神も物部守屋である、と。
そして御柱とは人柱の異形で
四本の御柱でそれぞれの神域を封じ、さらにその社、四社で
諏訪湖は封じられているのだとしている。
(物部守屋の怨霊と地震という古からの災いを封じる)
鹿の頭の羅列に驚愕した御頭祭も怨霊神・祟り神を鎮めるための
人柱の代用と指摘している。
紹介できたのはごく一部ですが諏訪の神を読み解く
数々の展開にまた諏訪を訪れてみたくなりました。
今度は守屋山を登り、かつ麓(伊那市高遠)の物部守屋神社にも
訪れてみたいものです。
「あとがき」にも
諏訪は、縄文信仰への入り口である。
さしずめミシャグジはその水先案内人であろうか。
ミシャグジの後をついて行けば、縄文の世界は
ごく自然に開かれていくだろう。
とありました。
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