書籍・雑誌

2021.04.17

「土佐乞食のいろざんげ」土佐源氏(宮本常一)

Tosagenji
今ままで読んだエロ本?官能文学?聴き語り?では最強にして最高の作品です。
河出書房新社「KAWADE 旅の手帳」の「宮本常一」
(佐野眞一 責任編集、2013年増補新版)に
増補資料として収録されている
宮本常一・伝「土佐乞食のいろざんげ」のなんと素晴らしきことです。
岩波文庫「忘れられた日本人」(青164-1、1984年)に所収の
「土佐源氏」と読み比べてみました。
岩波文庫では「××××」の隠語ですが
KAWADE 旅の手帳では「前の道具」や
「××する」を「べこつく(交接)する」や
「××した」が「おめこした」に
またただ単に「男のを入れる」が「男のちんぽをいれる」と
はっきり書いてあります。
また岩波文庫では、ばくろうの宿となる後家の家の後家が
ばくちを打つとき、負けが込んでくると膝を割って
毛むくじゃらの陰部をわざとさらすとか、
そんな後家と親方の目を盗んで寝た話や
官林の番の役人の奥方、
同じく庄屋のおかた(奥さん)との性描写は
すっかり割愛されています。
一方で岩波文庫にはKAWADE 旅の手帳にはない
池田亀五郎という強盗のことが描かれているほか
土佐檮原付近の地図や、ばくろうが歩いた村の一つとして
東宇和郡惣川村の写真がありました。
また「忘れられた日本人」には解説にもあるように
性の「解放」が民衆に根付いていたことがちりばめられた
文章がいくつも収録されています。

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2021.01.29

軍都だった廣島

Hiroshimacalender2021

なぜ、広島が原爆投下の標的となったのか?
その答えの一つは廣島が軍事都市だったことは間違いありません。
当初は年末の旅で呉の大和ミュージアムに行ってみようか
(年末年始休館が多い施設の中でもここは開館)とも
思っていたものの、結局は素通り。
江田島でもコロナで見学中止中の海上自衛隊(旧海軍兵学校) や
真珠湾攻撃にも参加した巡洋艦の軍艦利根資料館なども
どうも食指が動きませんでした。
見るべきもの、見ておくべきものの順番について
神の見えざる導きが働いたのかもしれません。
広島への旅はまだまだ先も長く続きそうと漠然と過ごしていたところ
東京新聞(夕刊、2021年1月19日付け)で
表題のカレンダーの記事を導かれるように読みました。
さっそく取り寄せました。
4月はじまりのカレンダーでありがたいです。
先日のブラタモリ
大和ミュージアムと呉を取り上げられていましたが
市街地は空襲の被害が大きかった半面
造船所、ドックヤードは空襲をうけなかったとのこと。
その理由に対する考察も導きもなかったことは残念でした。

 

 

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2021.01.26

つながり つながる 宮本常一 鬼太鼓座

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二十歳の誕生日はとある山小屋で迎えましたが
一緒に働いていた山小屋仲間の先輩諸氏から
山でも下山後の世界でもたくさんの影響を頂きました。
その一つの音楽に「鬼太鼓座」があります。
不安定な今で言うフリーターから社会人となったのちも
鬼太鼓座や鼓童を愛聴していましたが
(腹に響く太鼓が好きなんです)
断片的な出会いや興味を抱いていたことが
今回また一つの旅をきっけかけにつながりました。
遠い昔に拾ったジグソーパズルの1つが今回出会った1つのパズルと
見事に符合したとでもいいましょうか。
なんと宮本常一と「鬼太鼓座」です。
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「宮本常一が見た日本」(佐野眞一、日本放送出版協会、2001年)の
「第十章 離島振興にかける」の中に
田耕(でんたがやす、鬼太鼓座創設者)と
宮本常一の出会いが紹介されていました。
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また宮本常一・著の「庶民の旅」(社会思想社・現代教養文庫、1970年)
には「もう一人、私の友に愉快な風来坊がいる」として
その交友が綴られているではありませんか。
特に夜の9時過ぎにふらりと田耕が宮本常一を訪ねてきた下りでは
「車の中で寝られるように畳も敷き、布団も積んである」とあり
思わず嬉しくなってしまいました。
今の時代にはクラウドファンディングという方法がありますが
田耕が宮本常一が紹介した人やそのまた繋がりなどを利用して
鬼太鼓座立ち上げの資金を集めていくアイデアにも
今なら間違いなく「いいね!」です。

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2021.01.23

「大名の旅<本陣を訪ねて>」宮本常一・著

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昨年11月に城廻りの師匠と浜田、山口と攻めた後
旧山陽道は矢掛宿で旧交を温める機会を授かりました。
「大名旅行」との言葉がある通り、
矢掛町のキャンペーンに当選し
重要伝統的建造物群保存地区選定に
国の文化審議会が答申した矢掛町矢掛宿に宿泊できる栄誉に
まさに授かりました。
その後、師匠から投げかけられた宿題が
「矢掛宿」その前後並びに旧山陽道で今もその面影を残す宿場町をあげよ。
でした。即答が出来ずもんもんとしておりましたが
先の旅を機会に宮本常一の古書を漁っていると
社会思想社・教養文庫(1968年)の表題の本に遭遇。
中身を確認しないまま、必ず「矢掛宿」やその周辺が
紹介されているに違いないとの推測のもと、取り寄せてみると
ピンポーンでした。良い本に巡り合いました。
一つの旅から生まれた疑問や課題が別の目的で訪れた旅によって
その糸口や繋がりを見出してくれる、まさに醍醐味でした。
ちなみに本著の冒頭「はじめに」に
「昔大名のとまったという本陣やそれに類するものが、
全国にまだ100近くのこっている。」と記されている。
本著の出版から50年余し。さて数は今はいかに、、、。
Daimyounotabi02

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2015年11月に訪れた矢掛宿
2020年末から電柱や電線の撤去が始まった。

 

 

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2020.10.16

金沢の秋星

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金沢在住の山の先輩からリンゴが届いた。
県が育成した新品種(2005年登録)で、
10月上旬から収穫できる中生品種という。
郷土の文豪「徳田秋声」にちなんで「秋星」と名付けられたとか。
丁度果物を切らしていた時だけにありがたみと嬉しさと同じく
ある一冊の本を思い出した。
今年4月に亡くなられたC・W・ニコルさんの
「りんごの花さく湖」
(1991年、ファンハウス、池田 宗弘 ・イラスト、 五木 寛之・翻訳)で
ダム湖に沈んだ、ひい爺さんの植えたリンゴの木にまつわる少年の物語。
今度、今度金沢に帰ったときは先輩の同級生が育てるリンゴ畑を
訪れてみたくなった。
Syuuseinicol

 

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2020.02.14

「村上海賊の娘」が面白い

Murakamikaizoku01

今年最初の城廻りの旅は愛媛と広島の
河後森城、三原城、能島城、新高山城をを訪ねてきました。
いずれも面白い旅を演出してくれた城ですが
旅の前にどういった城巡りができるのか最も見通せなかったのが
今治の能島城址。なにせ島なのでせいぜい大島の
村上水軍博物館どまりかとも思っていましたが
想定以上の思い出の城旅を味わえました。
まずは村上水軍博物館が面白く
加えて能島城址をまじかに見る「潮流体験クルーズ」を味わい
いかにこの城が難所の潮流を活かした要害の地であったのかを
体験することが出来ました。
そして旅から帰り師匠の勧める表題の
「村上海賊の娘」(和田竜、新潮社、2013年)を耽読。
下巻は特に潮流に乗るがごとく一気に読み終えました。
(能島城のほか、この作品に登場する小早川高景の
三原城、新高山城を訪れれたことも嬉しい限りでした)
映画になってほしい作品です。
当ブログ(2017年1月)
大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)の「かんやどり」 でも紹介した
「乎知命(おちのみこと)御手植えの楠」
Ooyamadumi05

祭神である大山積大神を大三島に勧請したとされる乎知命が、
二千年以上前に植えたとの伝承を持つ大木、、、ですが
「村上海賊の娘」ではこの下で村上武吉が必勝祈願の連歌の興行を
催したことが描かれています。
Tsuruhime 鶴姫ロードの鶴姫像
鶴姫伝説も「村上海賊の娘」で紹介されていました。

 

 

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2019.11.07

「鰹節」と「勝男武士」

Katuobushitshirts

椎名誠の「本の夢 本のちから」(新日本出版社)に
紹介されていた宮下章さんの「鰹節 (ものと人間の文化史)」
(法政大学出版局)が面白い。
身近な鰹節がますます大好きになります-
ちょうど高知県南国市の岡豊城跡を訪れた際に
道の駅「南国風良里」で販売されていた
土州魂 土佐藁焼党 勝男武士 必殺一本釣りTシャツを購入。
本著にもありましたように「カツオ」は「勝男」で
縁起がいいんですね。

 

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2019.07.28

古書店 オヨヨ書林

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金沢で暮らした青春時代。
人生の方向が見出せないまま迷いの中にあったこの頃
古本屋巡りを一つのはけ口としていた。
いわば読書に逃げ道と迷いの出口を見出そうとしていた
(今でも遊行の途上ながら)
古本屋巡り。アマゾンやネットとは違うまた実店舗の楽しみは
今でも健在だ。
前置きが長くなってしまったが東京新聞の夕刊に連載されていた
三品 信さんの「能捨(のうしゃ)の書棚」6月19日(2019年)付けに
オヨヨ書林が紹介されていた。
この三品さんが日本でいちばんすきな古書店
オヨヨ書林 長町のせせらぎ通り店に
小松空港に先輩を送った帰路立ち寄ってみた。
ここは1917年(ロシア革命の年、ニコンが設立された年)の建物で
鉄工所、クリーニング店などをへて現在の古書店になったとか?
1冊、買おうかだいぶ迷いましたが結局買わず仕舞
(基本的には迷ったら買う性格ながらも)
8月に再訪してみてまだ在庫としてあったら買うだろな。
今回の唯一の収穫は金沢や石川の古書店案内
昔は古書元車を贔屓にしていましたが、やはりもうないですね。
オヨヨ書林また行きます。
Oyoyo02

8月の帰省にあわせ今度は4番弟子と再訪。
こいつも古本屋好きになることを願って。
Oyoyo03

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2019.06.29

星空キャンプ(村上康成)

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ともすればゲームばっかりで過ごしている
弟子2号と3号を、行って見たいと思っていた
アルペン・アウトドアーズフラッグシップストア柏店へ連れ出してみました。
ボルダリングに興味をもってくれたりと
それなりの効果がありましたが
自分としては一番嬉しかったことは書籍コーナーでしょうか?
キッズ用の本のコーナーに絵本が並べられており
お気に入りの村上康成さんの作品も。
本当は大人の本としても紹介していただきたいところかな。
私のホームページにも村上康成さんの作品を紹介していますが
「星空キャンプ」以外にも大人子どもを問わずアウトドア関連の本として
お奨めの本が沢山あります。

 

Alpenkashiwa01 Alpenkashiwa03

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2019.01.24

「宮本常一とクジラ」と鯨大和煮 缶詰

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小生は小学校の給食にクジラの肉が出されていた世代に属するが
先日の日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退へというニュースは
複雑な気持ちが正直なところだった。
和歌山や千葉、宮城、高知などでこれまで旅の途中でクジラに関する
場所を訪れたり、C.W. ニコルの「勇魚」ほかクジラや捕鯨についての
書物にも若い頃から触れ、また捕鯨反対派などの声にも耳を傾けてきた。
捕鯨を民俗学的見地や食糧としてのクジラのあり方に関心を持ち続けてきたが、
日本の一方的脱退という手段以外にもう少し
日本人とクジラの関係を国際社会にアピールは出来なかったものかと思い
今、IWC脱退へとの報に触れ本棚の一冊を再び開いてみた。

「宮本常一とクジラ」(雄山閣、2009年)の著者、小松 正之さんは
水産庁漁業交渉官として捕鯨を担当し、長年にわたり日本の水産業に
深く関わってきた方だ。ただ役人として関わってきただけでなく
本著のように日本の捕鯨を水産庁での見識を活かし
宮本常一のフィールドワークそのもののように
民俗学的洞察で深くアプローチしている
今改めて読み返す価値のある一冊。

Marusuikujira
鯨大和煮 缶詰は丸水札幌中央水産のヒゲ鯨赤肉味付(ミンククジラか?)

Muroto04
こちらは2009年9月に訪れたキラメッセ室戸の「鯨館」の暖簾


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