書籍・雑誌

2022.11.08

紺野機業場(庄野潤三)

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城巡りの師匠を故郷・安宅(石川県小松市)へ案内したのは
2013年の5月。橋立の北前船主屋敷蔵六園を訪れた際です。
そんな師匠からふと手渡されたのが日本経済新聞の夕刊
「文学周遊」に安宅を舞台にした聞き書き小説のことが
取り上げられていました。
同紙には元郵便局長でスポーツ少年団活動でお世話になった
恩師のコメントも紹介されています。
この作品のことは無知だったこともあり、
さっそく図書館で取り寄せてみました。
(庄野潤三 第七巻、講談社、昭和49年)
ページをめくっていくのが楽しみです。
師匠とともに訪れた安宅の関
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少年時代に慣れ親しんだ「勧進帳」の舞台像からは新しくなっていました。

 

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2022.09.12

アイヌのことを考えながら北海道を歩いてみた

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表題は副題に「失われたカムイ伝説とアイヌの歴史」とある
ユサブルという出版社からことし7月に出たばかりの新刊。
(著者・カベルナリア吉田)
若い頃に読んだ「アイヌ民族抵抗史」(三一書房、1972年)や
佐倉の国立歴史民俗博物館で開催された「夷酋列像」展
その夷酋列像を描いた松前藩家老の蠣崎波響を訪ねての松前城と
ポツン、ポツンとアイヌにまつわる読書や旅を重ねてきましたが
その点をつなぎ1つの線としてまとめてくれるような本に感謝です。
ちょうど弟子1号や2号が最近読んでいるコミック
「ゴールデンカムイ」も回し読みさせてもらい
思わぬ弟子たちとの交流にも感謝でしょうか?
いずれ弟子たちを関連する旅に引き連れたいところですが
まずは映画「二百三高地」や「燃えよ剣」、「セデック・バレ」
ドラマ「坂の上の雲」のDVD版を一緒に鑑賞し
反応をさぐってみたいところです。

 

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2022.07.29

ようこそ森へ

Morieyoukoso

子供や孫にも贈り、自分用にも一冊キープしている
郡上八幡出身の村上康成さんの絵本ですが
NHKラジオ第一の「落合恵子の絵本の時間」で
先日紹介され嬉しくなりました。
同番組は放送日時が変われど、長年愛聴している番組ですが
もしかして村上康成さんの作品は初登場?だったかな。

 

 

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2022.03.31

「諏訪の神」封印された縄文の血祭り

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(戸矢 学・著、河出書房新社、2014年)
なんともおどろおどろしい副題のついた諏訪の神だ
引き続き諏訪の神への好奇心が強く
表題の本を手にしましたが、いくつかの疑問がかなり
おかげで解けてきました。
まずなぜ建御雷神(武甕槌大神)に負け
諏訪まで逃走してきた建御名方神が
”軍神”として武田信玄をはじめ多くの武士たちに崇拝されるのか?
諏訪社は全国に5000社以上に対し
建御雷神を祀る鹿島神宮分祀は約750社という圧倒さ。
(なんでも長野より新潟に多いという)
これに対し本書では「日本書紀」にも「出雲風土記」にも登場しない
(「古事記」のみに記される)建御名方神の逸話はでっちあげで
建御名方神とは物部守屋のことであると読み解いている。
物部一族は軍事と祭祀の双方を司ってきた一族であり
もともと硯石を神体とするミシャグジ社であったところに
6世紀末頃に物部守屋の霊威がこの境内(神居)に埋葬され、
その名は秘されたとし、神長官・守矢氏の「洩矢神」
モリヤの神も建御名方神も物部守屋である、と。
そして御柱とは人柱の異形で
四本の御柱でそれぞれの神域を封じ、さらにその社、四社で
諏訪湖は封じられているのだとしている。
(物部守屋の怨霊と地震という古からの災いを封じる)
鹿の頭の羅列に驚愕した御頭祭も怨霊神・祟り神を鎮めるための
人柱の代用と指摘している。
紹介できたのはごく一部ですが諏訪の神を読み解く
数々の展開にまた諏訪を訪れてみたくなりました。
今度は守屋山を登り、かつ麓(伊那市高遠)の物部守屋神社にも
訪れてみたいものです。
「あとがき」にも
諏訪は、縄文信仰への入り口である。
さしずめミシャグジはその水先案内人であろうか。
ミシャグジの後をついて行けば、縄文の世界は
ごく自然に開かれていくだろう。
とありました。

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2022.03.28

「諏訪の神さまが気になるの 」

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諏訪大社をはじめ幾度と諏訪地方を訪れてきましたが
先に初めて神長官守矢史料館を見学し
改めて諏訪大社について学んでみたいと思いました。
そもそも何で上社、下社それぞれ2つづつの計4社もあるのかと。
その手掛かりの一冊として
「諏訪の神さまが気になるの 古文書でひもとく諏訪信仰のはるかな旅」
(北沢房子・著、信濃毎日新聞社、2020年)を読んでみました。
上社と下社の力関係の変遷や現人神・大祝の系譜
物部守屋との血縁など、驚き驚きがたくさん飛び出してきました。
ちなみに小生の故郷、石川県小松市にも「お諏訪さん」と呼ばれる
神社がありますが「諏訪神社」でなく「莵橋神社(うはし神社)」
ここがなぜ一般的に「うはし」でなく
「お諏訪さん」と呼ばれるのかにも興味ありますね。
たしかに御祭神には建御名方命と八坂刀賣命が祀られてはいるのですが。
小生もとても気になります「諏訪の神さま」。


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2020年11月に城廻りの師匠と訪れた
物部氏の御祖神「宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)」を祀った
石見の国・一宮「物部神社」

 

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2022.03.16

「水無しに飴を造らむ」

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世界中がプーチンという駄々っ子に手を焼いている感の
この頃ですが、武力ではウクライナを大きく凌駕しながら
プーチン・ロシアが最終的に勝利することなく
むしろ今回の侵略戦争の始まりはプーチンの終わりの始まりと
確信しているのは私だけではないと思います。
そんな中、今読んでいる文春新書
“邪馬台国は「朱の王国」だった“(蒲池明弘・著、2018年)で
「非暴力」による勝利や
「武器をつかわないで、天下を平定する」
等の記述に出くわし、この思いを一段と強めました。
同書の中に「新編日本古典文学全集 日本書紀」からの引用として
「水無しに飴(たがね)を造らむ。飴成らば、
 吾必ず鋒刃(つはもの)の威を仮らずして
 坐(ゐ)ながらに天下(あめのした)を平(ことむ)けむ」
と紹介し、これは単純に飴の製法のことではなく
すなわち朱を原料とした水銀生産の技術革新が経済力を押し上げ
勝利につながったというような記載があります。
世界的なSNSの広がり、ネットコミュニケーション技術の高まりが
プロパガンダを凌駕し情報統制国家に穴を空けていることも
「水無しに飴を造らむ」につながると思います。
武力より経済力、ロシアに対する各国の制裁のみならず、
今回の戦争行為はロシアの経済力を低下させ
国力の低下は国民の不満の爆発を誘引させます。
この経済力の中には文化や芸術を含まれているものとも思います。

 

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2022.03.04

藤森照信「空飛ぶ泥舟」×内田有紀 を観ました

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テレビ東京の「新 美の巨人たち」です。
建築家の藤森照信さん(江戸東京博物館館長)といえば
15年前に訪れた「ねむの木こども美術館」
(掛川、2007年開館)を思い出します。
(設計は藤森照信+内田祥士)
この時からずーっと気になっていた藤森さんの建物ですが
「新美の巨人たち」では藤森さんの生まれ故郷
山梨県茅野市にある茶室や
元総理・細川護熙さんの神奈川県湯河原町にある「不東庵」の茶室
同じく茅野の神長官守矢史料館なども紹介されていました。
神長官守矢史料館といえば諏訪大社上社の神官の一つ
「神長官」(じんちょうかん)を中世から江戸時代まで務めた
守矢(もりや)家に代々伝わってきた史料の宝庫。
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最近わくわくさせてくれた本
「聖地の条件―神社のはじまりと日本列島10万年史」
(蒲池 明弘・著、双葉社、2021年)でも
ミシャグジ信仰の総社「御頭御社宮司総社」(おんとうみしゃぐじそうしゃ)が
その神長官守矢史料館の敷地内にあるなどと紹介されていました。
江戸時代の旅行家・菅江真澄のスケッチにもある
諏訪大社で行われる御頭祭(おんとうさい)で
供えられた神饌(しんせん)の再現展示
75頭の鹿の生首を供えた祭祀の再現展示
藤森作品とともにこれを見に行きたいのものです。

 

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2022.02.27

酒器「ダルマ」と「ダルマ・バム」

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石川県山中町は漆器の里として有名ですが
(温泉もいいよー)
そこには木地師による木工加工技術が基礎にあります。
その山中の我戸(がと)幹男商店さんの漆器「彰宣」は
美しい木目を生かした製品です。
手にしているのはダルマと名付けられた酒器ですが
ダルマといえばジャック・ケルアックの小説
「ダルマ・バム」(The Dharma Bums)を思い出します。
翻訳本では1973年太陽社の「禅ヒッピー」(小原広忠訳)がありますが
こちらは講談社文芸文庫(中井義幸訳、2007年))の「ザ・ダルマ・バム」
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(原書はなんと私の生まれた年の発行ですね)
ちなみに「bum」とは英和辞典では、のらくら者とか浮浪者、
なまけ者、飲んだくれ、放蕩者、ルンペン、無能者、役立たず、
などなどとありますが、「彰宣」のダルマを持った姿は
まさにダルマ・バム、酒器「ダルマ」を手にしたのんだくれ
かもしれませんね。
ジャック・ケルアックの作品についてはホームページにても紹介しています。

 

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2022.02.20

樹村みのり展

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明治大学・米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館 1階で
開催が始まった
「樹村みのり展 -その優しさ、芯の強さー」
に行ってきました。
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友人の影響で高校から愛読している樹村みのりさんの作品は
今も宝物として書斎にあります(時折知人や友人に貸し出すことも)。
今回は展示会期の第1期の原画に触れてきましたが
第2期などにも足を運んでみたいとも思っています。

雨(1977年)
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ピクニック(1979年)
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悪い子(1981年)
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本棚から宝物の3冊

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ジョニ・ミッチェルといえば「青春の光と影(Both Sides Now)」ですね。

映画「いちご白書」(The Strawberry Statement、1970年)も思い出します。

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2022.02.18

おてんとうさんに申訳ない-菅原文太伝

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今年の沖縄は選挙の年。
先日の名護市長選挙では辺野古問題に異を唱える候補が敗れ
この問題に触れず、国の札束の威を借りた候補が当選したが
これも一種の買収選挙ではないかと思う。
さて表題の本(現代書館、坂本俊夫・著、2019年)では
冒頭の第一章で2014年12月の沖縄県知事選挙の
翁長陣営に応援のため、勝手に駆けつけ演説した(同年11月)
菅原文太のことから始まる。
死期を目前にした菅原文太の熱弁は「菅原文太 最後の訴え」として
YouTubeで触れることができる。
今新たにこの本と菅原文太の最後の訴えを通し
今年の沖縄を見つめていきたいと思います。
「覚えてるかー   覚えとるよー」

 

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